民芸運動の一翼を担った陶芸家 “濱田庄司”。人間国宝。
昨日在庵 今日不在 明日他行
( 昨日はいたけど、今日は留守にする。そして明日はどこかへ行っちゃうかもしれません。by 庄司 みたいな感じです。)
もし、この現代においてこんなことをモットーとして掲げたとしたら、あるいは僕はすぐにニートになってしまうかもしれません。
ですがそんな強気というか、こんな奔放な濱田さんの生き方に憧れなくもないです。なんだか野良猫のように自由。
こちらの施設は濱田庄司 自身が陶芸作品を作るうえで参考にしたであろう品々を集めて展示してある、その名も「参考館 ( さんこうかん ) 」。
参考館というコンセプトからのストレートなネーミングもグッときます。
栃木県は益子市(ましこし)。8月9日(土)に行ってきました。
こちらは距離的にも気軽に来れるところでもないですが、今回タイミングが合い、行けて良かったです。
益子焼きの益子です。
日本民藝館好きな人は是非。
民藝館 濱田Verといった感じ。
他のお客さんは一組のみでした。
なんか民藝館に通ずる雰囲気有り。
敷地内の蔵。土地的にも大谷石が随所に使われていました。
中に展示有り。
建物がいくつもあります。
と何度も思うことでしょう。
↑これは中米の石の台みたいなものですが、こういったような濱田庄司氏が世界中から集めた蒐集品が展示されています。
キャプションなんかも民藝館同様に筆書きでシンプルなものだったりで、いいですよ。
イームズのラウンジチェアなんかもありました。( イームズとも親交があったようです。イームズいいヤツだな〜ってエピソードもどっかにありました。内容忘れましたが )
欧米のもの以外にも、アジア系のものなども含まれていて、世界各地の民芸品が色々と展示してあります。アフリカのモノなんかもあったと思います。
色々ある割になんだかどれも、いいな〜とか思えますし、やはりどこかで共通点というものがあるからこそ違和感がなく揃えられているんではないかと思います。
素敵なところです。
濱田庄司さんのご氏族の陶芸作品も売ってます。
そしてのんびり移動していく猫のあとを追跡する。
なにやら館内の方曰く、この敷地内で適当に放し飼いスタイルで飼われている猫ちゃんの様です。
昨日不在 今日たまたまいた だけど明日他行 明後日他行 明々後日他行
との如く、濱田氏以上に自由奔放そうな雰囲気をかもすヤツです。
( 事実、館内の方に聞くところによると、昨日までどこかに出かけていたそうな。 今日は居ましたね。 )
目をつけて、行動を追っていると…
さすがに中には入りませんでしたが、濱田庄司の器の横に座る。
( 予想ですが、サイズ的にも日常的に器の中に入っていそうな気がします。 )
長い参考館の歴史のなかにおいては、人間国宝の展示作品がやんちゃな猫によって破壊されたこともあったでしょう。
管理者、ご氏族の方々の寛大な心に敬服いたします。
こんな自由さが濱田氏の懐の深さのようにも思えて、とてもいい場所感アップです。
用の美を掲げ、ブランドネームのような付加価値を排除したような考え方は、こういった神作品の横にも自由に野良猫を放せる環境を実現させたのではと思います。
なんだかわかりませんが謙虚な感じがして、より人間的な厚みを感じてしまいました。
「作品」
ここに展示されているものはある意味では濱田氏に勝ったモノたちです。
負けたからこそ濱田氏はその要素を積極的に取り入れて自分もモノ作りに活かしたようです。
僕はバカバカと物を買ってしまうようなところがあるので、濱田氏を少しでも見習いたいと思いました。
(そういった意味においては僕は世に溢れる品々に負け過ぎなのかもしれないです。一流の本物しか買わない!みたいな生き方は、ある意味でとてもストイックですが、結局はそう言うことなのかもしれないなとか思います。
本当に大切にできるものなんて一握りですよね。
でもたまにはユニクロとか無印とかH&Mとかも行っちゃいます、、。)
途中カフェのような、注文すれば飲み物が飲めるスペースもありです。もちろん猫の往来あり。
(その場所にも名前がついていましたが忘れました。)
登り釜。
良いところでした。
参考館を出て、
こちらのお蕎麦屋さん「そば処 炉庵」では美味しい手打ち蕎麦と、この土地の名物”ビルマ汁”なるものを食べてきました。
(この土地では学校給食でも出るらしいです。)
ビルマ汁は第二次世界大戦のときに、南方に出兵したときの野戦料理がルーツになっているようです。いわゆる、あの時食べた味が忘れられなかったからの再現料理系です。
トマトやいんげんなどなど夏野菜をふんだんに使ったソレは、カレーやスープカレーのように油っぽくもなくサラッとしたスパイシー感でカレー風のみそ汁のような優しい料理で、とても好感が持てました。作り方も簡単。煮込むだけ。(和風だし+カレー粉がベース)
そして、お腹いっぱいになり、こちらのお店に突撃。
民芸店 ましこ
ここの店主さんはとても気さくな方で色々と貴重なお話を聞かせていただきました。何時間も居座ってしまいました。
民芸運動などの歴史を同時代的に肌身を持って体感したであろう店主の発言は、謙虚で気さくながらも重みのある雰囲気を醸していました。
夏祭り。
戦利品。
使うときに、作り手、あるいはお店の人の顔が浮かぶような素敵な品々です。
道具は作り手の温もりが伝わるに越したことはないと思います。
もし民芸好きな方で訪れたことがなかったら、是非一度訪れることをお勧めしたい土地だと思いました。
名前通り、作り手の参考にしてほしい品々が集まっているようでした。自由奔放な猫も生き方の参考にして下さい。
もう一度言いますが、その名も栃木県は益子です!
twelve 青木 健太朗