Vol.2からの続きです。
冬型の多肉植物オトンナ(Othonna)の栽培写真を記録します。
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全3回です。
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前回のVol.2 (9種目~17種目)←このページへリンクしてあります。
前々回のVol.1 (1種目~8種目)←このページへリンクしてあります。
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18種目
オトンナ・マクロスペルマ Othonna macrosperma
こいつもかなりミニサイズです。もっと大きくなるはずなのですが、やはり成長スピードはどれも遅いですね。
省スペース化のために、一鉢に二本植えられたオトンナ・マクロスペルマ 。
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19種目
Othonna tuberosa オトンナ・ツベローサ
塊根って感じですね。葉っぱは上に伸びずに低く広がる感じみたいです。
塊根の部分はどことなくタリナム・カフルム(Talinum caffrum)にも似ている感じがします。
平たく特徴的な葉です。
大きな塊根がありましたが、何があったのか1年栽培しているくらいで、塊根が潰れたようにしぼんでしまいました。
塊根が多少潰れても生きてるようです。何か栽培に問題があったのでしょう。
これと同じ症例を見たことがあるので、何かが原因でこのような状態になることはあるような気がします。
オトンナ・ツベローサ a.k.a. オトンナ・ツブレローサ
花芽は縦横無尽に伸びまくりです。こんなに花芽がピヨンピヨンしてたら、近隣の株と受粉しやすそうですね。
入手時よりも明らかに形状が悪くなってしまいました。
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20種目
オトンナ・フィリカウリス Othonna filicaulis
どことなくマンドラゴラテイストがある小型塊根種。
蔓性みたいですね。
かなり長い蔓を伸ばすオトンナ・フィリカウリス Othonna filicaulis。
マイナー感がある種類です。いまいちインパクトに欠ける感じがします。
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21種目
オトンナ・グラべオレンス Othonna graveolens
南アフリカ共和国の北ケープ州のリフタスフェルト、ナミビアの南部あたりが自生地のようです。
この個体の葉はオトンナ・ロバタのように春菊タイプです。
塊根の色は白っぽい感じですね。どっしり感が気に入っています。
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22種目
オトンナ・レピドカウリス Othonna lepidocaulis
植物とは思えないような鱗状の表皮を持つ人気のオトンナです。こちらも比較的高価です。
葉っぱの形状はシャープです。
レピドカウリスは小さい植物ですが、この鱗の形状からか、アップで見るとエンセファラルトス(Encephalartos)などのソテツ系の樹皮にも見えてくるような気がします。
↑この鱗模様は成長期の葉が出ている時に観察するとよく分かりますが、葉の一枚一枚の基部が、落葉後も残って、このようになるんですね。
成長期の成長点は緑でイキイキしている感じです。葉が落ちるとこの部分も黄色っぽく硬くなってくるんだと思います。
フワフワも兼ね備えています。
↓下の写真はベアルートの状態ですが、それでも上部は緑がかっています。
どんどん上に伸びて成長していくので、太く育てるのはなかなか難しそうです。
花芽が伸びてきました。
花芽はこんな感じです。
↓オトンナ・レピドカウリス Othonna lepidocaulisの花
舌状花はかなりクルクルと外側に巻いています。
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23種目
オトンナ・エスピー. ノヴ. アフ. レピドカウリス
Othonna sp. nov. aff. lepidocaulis
という名称で入手したものです。
sp. nov. aff. lepidocaulisの部分は、レピドカウリスに似ていて、新種と思われる名無しの何か、みたいな意味だと思います。
葉はわずかにノギがあってレトロルサのようでもあります。
この種が発見されたのは、北ケープ州(南アフリカ)のステインコフ西部近くのニフラムープ、ブレットラップの北部。だそうです。
(Northern cape, west steinkopf near Nigramoep, North bulletrap) →google map リンク←
レピドカウリスに似ていますが、レピドカウリスの自生地とは300kmくらい離れているようです。
しかし、こいつも天に召されてしまいました。枯葉の残り感もレトロルサ風ですね。
万が一、復活する可能性も無くは無い…
という願いから、まだこのままで栽培し続けています。
多分、レア植物栽培あるあるですね。
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24種目
オトンナ・クラビフォリア Othonna clavifolia
塊根性でプリッとした多肉質の葉を出します。
これは葉が出たばかりなので、まだ葉が小さいです。
プリプリした葉が可愛らしい種類です。
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25種目 ラストです。
オトンナ・トリプリネルビア Othonna triplinervia
ぽっちゃりと基部が太くなるオトンナです。
肌は白っぽく、葉の裏が紫に色付きます。この時はまだ葉は紫ではありませんでした。
葉の裏が紫色になった様子。
↓イモムシの写真が出てきます。
オトンナは葉が美味しいのかわかりませんが、毎シーズン決まって、このような小さいイモムシがついて葉に穴を開けてしまいます。
このイモムシの名前はわからないのですが、ヨトウガの幼虫でしょうか?
かなり小さいので別の幼虫かもしれません。
少し調べてみてわかったのですが、蝶(チョウチョ)の幼虫はキク科の葉を食べないらしいです。
キク科であるオトンナの葉を食べるということは蛾(ガ)の一種なのだと思います。
葉の紫の部分だけを食べていくようです。なんか美味しそうに食べているように見えます。
この辺でオトンナ・トリプリネルビアが食べられるのはウチくらいなんではないでしょうか。彼らにとってはレア食材ですね。
幼虫の本体は葉っぱに色が似ていて見つけにくいのですが、葉っぱの不自然な穴開きや、用土上に大量の黒いフンがあると、何者かが住んでいるという目印になり、発見に至ります。
色々と多様化してきたのでしょうが、フンを保護色にする技術まではまだ獲得できないみたいです。
綺麗な葉っぱに穴をたくさん開けられてしまうと植物の観賞価値は下がってしまいますが、まあそれも園芸の一部と考えるようにします。
ちなみに見つけた際は、別の場所に移動してもらいます。
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26種目 おまけ
ブラシカ オレラセア 変種カピタータ
Brassica oleracea var. capitata
オトンナ・トリプリネルビアで思い出しましたが、冬の寒さで葉が紫色に色づいた、ただのキャベツです。
うちの奥さんのお父さんが、菜園をやっていて、このような無農薬野菜を頻繁にいただけるのですが、これを頂いた時に、キャベツも寒さで色が変わるのかと、ちょっと感動しました。
ちなみにレタスはオトンナと同じキク科ですが、キャベツはアブラナ科です。
上記のキャベツの学名を調べたら変種とのことだったので、このキャベツの原種ってどんな感じなの?と疑問に思い調べてみました。
キャベツの原種は、ヤセイカンランという野草らしく、おなじみのケール、カリフラワー、ロマネスコ、メキャベツ、コールラビ、ブロッコリーなどはすべてヤセイカンランの変種だそうです。
ヤセイカンランはすごく多様性がありますね。
ちなみに下記にそれぞれの学名を載せておきます。
B. oleracea var. acephala – ケール
B. oleracea var. alboglabra – カイラン
B. oleracea var. botrytis – カリフラワー、ロマネスコ
B. oleracea var. capitata – キャベツ
B. oleracea var. gemmifera – メキャベツ
B. oleracea var. gongylodes – コールラビ
B. oleracea var. italica – ブロッコリー
これからキャベツのことをカピタータと呼ぶかもしれません。
ちなみに、ヤセイカンランのカンラン部分の漢字は、ボスウェリアやコンミフォラ、ブルセラなどのカンラン科(Burseraceae)の橄欖ではなく、甘藍(かんらん)ということです。
野生甘藍(やせいかんらん)と書くのでしょうか。甘藍とは中国語のキャベツという意味だそうです。
最後のおまけがキャベツではなくレタスだったらキク科つながりということで、もう少しバシッと決まったかもしれません。
というわけで、冬の多肉塊根植物オトンナとキャベツの話でした。
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以上で終了です。
過去のVol.1とVol.2はこちらからリンクできます。
冬型キク科多肉塊根植物 オトンナ OthonnaたちVol.1 ~贔屓植物記録 2019.01冬~
冬型キク科多肉塊根植物 オトンナ OthonnaたちVol.2 ~贔屓植物記録 2019.01冬~
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※登場する植物は、記載してある名称で入手したものというだけで、標本株というものでもないですし、葉や花の形なども、標準とされる個体から差がある場合があることをご了承ください。交配種も載せているくらいですし。
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twelve 青木 健太朗