フィンランド旅行の件、まだまだ続いています。
なかなか、この記事に着手できていませんでしたが、この人生が終わるまでには完成させようと思います。
前回関連記事
フィンランド旅行紀-Vol.4 三日目 前編 アルヴァ・アアルト スタジオ Alvar Aalto Museo (2016.12.26)
2016.12.26 ボクシングデーです。もはや二年近く前のことですがあしからず。
今回の行く場所は アルヴァ・アアルト自邸 (The Aalto House) です。以下、アアルト自邸と記載。
#01 AALTO STUDIOとAALTO自邸の俯瞰地図
#02 AALTO自邸の外観
#03 一階の作業部屋
#04 隠し扉のある書斎
#05 タンクチェアがあるリビング
#06 アレクサンダー・カルダー氏について
#07 ダイニングと多肉植物
#08 二階へ
#09 サナトリウムのドアノブ
#10 ベランダのリーヒティエ プラントポット
#11 ミュージアムショップのかまぼこタイル
#12 Laajalahtiという湾
#13 ヘルシンキの市街へ
#14 3日目中編 アアルト自邸 まとめ
※各単語についているリンクは、場所によってGoogleの画像検索でイメージが確認できるようになっています。検索結果によっては関係ないものが混ざって表示される場合もあります。
AALTO STUDIOを出て、次はアアルト自邸へ向かいます。
前回も使用したこちらの地図を再び。↓
中央あたりにあるのが、最初に来たTiilimäkiというトラム停留所です。右が前回行ったAALTO STUDIOです。
左下にあるのがアアルト自邸です。
AALTO STUDIOから歩いて15分くらいでしょうか?
風景を楽しみながら歩いているとあっという間でした。
Riihitie (リーヒティエ) という通りにアアルト自邸はあるのですが、下の写真では奥にある横断歩道から奥がリーヒティエ通りです。
この建物がアアルト自邸です。やはり白なんですね。
左の小さい木の扉が入り口ですね。右の大きい木の扉は自動車のガレージでしょうか。
いざ内部へ。まずは一階を一通り見学します。
↓かなり古い建築雑誌が置いてあります。1937年とあります。
1937年というと、レストラン サヴォイの内装の仕事や、パリ万国博覧会のフィンランド館の仕事をしていた時期です。
設計をする机がある部屋です。AALTO STUDIOで仕事をする前はこちらで仕事をしていたそうです。
一番奥にある窓際の机でアアルト氏はいつも作業をしていたそうです。
↓こちらがアアルト氏の作業机。
↑上記の机から見た、入り口方面。↓
階段があり、二階へも行けるようになっています。
そういえばこのレンガ部分、暖炉なんですね。あまり注目してませんでしたが、足場になっているというのも面白いですね。
こういった備品も気になってしまいます。
↓民芸品のようなものや、オブジェのようなものも。アアルト氏のデザインのイメージから少し異なる要素を持つ物を見られるのは貴重な体験です。
作業部屋の奥の方にある書斎です。階段で何段か上がるので中二階くらいでしょうか。おそらくこの空間の下はガレージです。
書斎のさらに奥にあるのはハシゴのような階段と小さな謎のドア。↓
このドアは、アアルト氏が苦手な人物が突然訪問してきたときなどに使用される緊急脱出口だそうです。
こちらはリビングルームです。ピアノが鎮座しています。
↓左側に写っているのは、蜂の巣をイメージしたビーハイブ(A331 BEEHIVE )という照明器具。
右側には暖炉も見えますね。こんな空間でくつろげたら最高です。
↓ビーハイブ(A331 BEEHIVE )。
日本では約10万円くらいの価格です。金色の細いメッシュの輪は真鍮で、白い部分はアルミニウムに塗装をしているみたいですね。
蜂の巣というだけあって有機的なラインですが、同時にどこか近未来的なスペースエイジっぽい雰囲気も兼ね備えています。
デザイン自体はかっこいいですが、部屋の雰囲気をごっそり持っていかれそうなインパクトを持っています。
アアルト氏は照明器具をいくつもデザインしていますが、光源がそのまま目に入るのをなるべく避けて、間接的に柔らかい光が目に届くように照明器具を設計したようです。
↓こちらも名作のアームチェア400 (ARMCHAIR 400)
通称タンクチェア。戦車ってことでボリューム感たっぷりです。
ゼブラのファブリックも印象的です。
この角度からは見えませんが、この椅子はアームが前面を通りそのまま脚になっています。
後ろ側は支えがないカンチレバー構造(キャンティレバー構造)です。
座ると独特のしなりがありそれもまた良い座り心地を出しています。ここでは座ってはいけませんよ。ちなみにお値段、65万円くらいです。
↓名作 SAVOY VASE (サヴォイ ベース / アアルト ベース)
吹きガラスを型に入れることでこの形が作られています。このガラスの質感はなんか古そうです。
↓挽き曲げの足でしょうか。アアルトレッグのプロトタイプでしょうか。もはやアート作品です。
↓こちらの謎のオブジェはアアルトの作品ではなく、アメリカの彫刻家 Alexander Calder (アレクサンダー・カルダー) 氏の作品で、アレクサンダー・カルダー氏がアアルト氏にプレゼントしたものだそう。
なにやら、この家にあるものの中で一番高価なものがこのオブジェだそうです。ちなみに、アレクサンダー・カルダー氏は天井から吊るすあのモビールを発明した人らしいです。
最初の奥様であるアイノ氏のデザインしたグラス。
ダイニングです。
この民芸品のような椅子は、アアルト氏がイタリアへの新婚旅行の際に買ってきたものとのことです。僕のメモ帳にはヴェネチアと書いてあったので、ヴェネチアで買った物だったかもしれません。
座面はペーパーコードで、木の部分もかなり年季が入っています。
そして、ここへきて多肉植物たちを発見。サボテンや、ユーフォルビア、サンセベリア、ハオルチアなどがありました。
まあこれはアアルト氏が育てていたものではないんでしょうけど、こういった素敵な空間に置かれているのはなんだか嬉しいですね。
日照の少ない北欧でこの手の植物を育てるのはコツが要りそうです。
土はかなりガッチガチですね。植え替えをしてあげたくなります。
室内ですが、二重で鉢の下にも軽いしなどを敷いているのは面白いです。
タンクチェアの後ろ側が写っていました。この角度からだと、カンチレバー構造を確認できます。
アイノ・アアルト(Aino Aalto)氏の写真。
棚もいいですね。シンプルながらアアルト氏とわかるデザインです。
パイミオのサナトリウム( Paimio Sanatorium )の写真です。
細い棒を無数に束ねて曲げてたレッグのサンプル作品。スパゲッティレッグという名前だったような。
アアルト氏の作品でしょうか。いくつかこういった抽象的な絵画が置かれていました。
二階へ移動。
二階の間取りは、リビング、子供部屋が二つ、来客用の部屋、もう一つ別の部屋、バスルーム、トイレ、ウォークインクローゼット、倉庫、ベランダ、という構成だったと思います。
アアルト氏のお母様の肖像画とシャコバサボテン。
こういった絵画も。
ここは来客用の部屋だったような。
ベッドが高くて狭めです。寝相が悪い人は危険ですね。
ちなみに床はリノリウムだそうです。wiki
リノリウムは1860年代にイギリス人の Frederick Walton氏により発明されたようで、100年以上の歴史があるようです。
ビニールなどのような質感にも見えるようですが、天然素材で作られていて、亜麻仁油、石灰岩、ロジン、木粉、コルク粉、ジュートなどが原料です。
30年代に流行したようで、日本でも軍艦の甲板などに使用されていたらしいです。
高度経済成長期には、塩化ビニールなどの素材が普及したことにより、リノリウムはあまり使われなくなりました。
しかし、現在ではリノリウムの天然由来の抗菌力やシックハウス症候群対策などの機能性が、再び見直されて人気が出てきているようです。
こちらはシエナ柄(SIENA)のカーテン。ルネッサンスなどのイタリア文化から影響を受けていたアアルト氏は、イタリアのシエナの建築などからこのデザインを着想したようです。
これはアアルトっぽい感じの椅子ですね。初期の作品でしょうか?
ここは子供部屋だったと思います。中に入れます。
A330というランプを改造したようなランプです。
これは確かアイノ氏の絵画だったかと思います。
洋服やバッグが置いてありましたが、アアルト氏のものなのでしょうか?
籐編みの瓶。
アアルトっぽくない椅子。詳細は不明です。
ここは確か二つ目の子供部屋ですが、今回は立ち入り禁止でした。
バスルーム。パイミオ サナトリウムにもこの洗面ボウルが使われていたと思います。
トイレ。
特徴的なドアノブ。
これはサナトリウム用に設計されたドアノブで、患者さんなどの握力が弱い人でも使えるようになっています。
また、白衣の袖が引っかかりにくくするためにノブの先端をドア側に折り込む設計になっています。
ただ、サナトリウムのドアノブはノブの先端も完全にドア側に埋め込まれているので、これはプロトタイプかもしれません。
ベランダに出てみます。
夕日が白い家を綺麗に薄オレンジ色に染めています。
ベランダに置かれたこの椅子もディテールはアアルト節ですね。
ティートローリー901(Tea Trolley 901)と同様のタイヤが付いているので、簡単に動かせるようになっているのでしょうか。
こちらに2つある大きな花壇ですが、これはアイノ・アアルト氏がこの家のためにデザインしたものです。
1937年のパリ万博にも出展されたものなようです。
こちらの花壇のデザインはリーヒティエ プラントポット(Riihitie plant pot) (陶器の植木鉢)として、フィンランド独立100周年の2017年に復刻されています。
この鉢は輪郭の曲線がAタイプとBタイプと2種類選べるようで、それは現存するベランダのオリジナルの2鉢の形状なのでしょうか。(上記写真はBタイプ)
カラーは、ブルーとホワイトです。
サイズは、Sサイズ(8000円くらい)、Mサイズ(12000円くらい)、Lサイズ(18000円くらい) です。
海外のHPでは検索すると、ダークブラウンとライトグレーなどの別カラーも出てきます。
後から発売された物かもしれません。
植物好きとしては、気になるアイテムではありますが、この陶器鉢は鉢底穴がないので、根腐れしやすい植物には向いていません。
独特の曲線により、鉢カバーとしても使いづらいという印象があり、植木鉢としてはかなり扱いが難しいと思われます。
僕が好きな乾燥栽培系の多肉植物などには向いていなそうですが、苔などの水分が好きな植物を植えるにはいいかもしれないですね。
値段も高額ですし、植木鉢というよりもサヴォイベースのように花瓶や小物入れとして使うのもありですね。
窓は広く開放的で、木製のブラインドがつけられていました。
壁面には蔓植物が。季節も寒いので枯れたようになっていますが、また春が来ると緑になるらしいです。
壁面に何本も均等に取り付けられたポールは、蔓植物を絡ませるためのデザインなのでしょうか。
ベランダから沈みゆく夕日を望む。
一階と二階の各部屋を見終えました。
残るはミュージアムショップのみ。
自宅なのでミュージアムというのはなんか違和感があります。
ミュージアムショップのコーナー。(ちゃんとmuseum shopと書いてありました)
シエナ柄のトートバッグやポスターなど。
アレクサンダー・カルダー氏の例のオブジェのポスター?も飾られています。
左上にあるポートレイトは若かりし日のアアルト氏でしょうか?
Artek製品。右下にはスツール60も置いてあります。ここでは免税が効かないので、ヘルシンキ市街のArtekで買ったほうがお得です。
書籍やグラスなども売られています。
ここで、かまぼこタイルが登場。
1956年にアアルトが手がけたフィンランド国民年金協会(ヘルシンキ)の壁面に使用されたタイルです。
1本20€で歴史的建材が手に入ります。かつアラビア製です。
これって無限にあるわけではないですし、手に入るのって今だけですよね?そもそも建材であって道具ではないので、復刻されることもないのではないでしょうか。
人を選びますが、かなりオススメのお土産品だと思います。
スーツケースの重量にもう少し余裕があったら2、3本欲しかったです。
解体した建築物を廃棄物としてただ処理するのではなく、お土産物として販売するというのも、合理的なアイデアだと思います。
実際、僕のように欲しがる人もいる訳ですし。
ちなみに、同じく見学している方々が何グループもいらっしゃいましたが、このタイルを購入している人はいませんでした。笑
以上でアアルト氏の自邸の見学が終了しました。
事務所であるAALTO STUDIOは、比較的ムダなものもなく洗練された印象でしたが、こちらの自邸の方はアアルト氏の作品以外の蒐集物や、私物などがあることで、よりプライベートな印象を感じることができました。
たとえば、所々に置かれた籐編みの天然素材を使った道具などが、籐編みのアームチェア406(ARMCHAIR 406)につながっているのかもしれないと思いました。
植物を空間の中に多く取り入れようとする植物愛や、ところどころに配置されたプリミティブな民芸品などの有機的な要素が、アアルトデザインに潜む優しさやぬくもりのルーツなのではないでしょうか。
シンプルで合理的で機能的、そして優しいぬくもりがある。それがアアルトのデザインなのだと思います。
家の見学を終えると、日が暮れていました。
トラム停留所に戻りますが、まだトラムが来るまでに少し時間を持て余していましたので、この先にある、Laajalahtiという湾に行くことに。
トラムの停留所から5分くらいで気軽に歩いていけます。
このLaajalahtiという湾は、バルト海の東部フィンランド湾にやがてつながりますが、複雑な入り江になっているため、穏やかで湖のような印象でした。12月でしたので完全に水面は凍っていました。水面が凍っていたから穏やかだったという印象を持っているのかもしれません。
いずれにしても、ここはとても綺麗な場所なので、AALTO STUDIOや、AALTO自邸を見学した際は是非、立ち寄ってみてください。
まさに北欧的な景色です。凍った湾を見るのは初めてかもしれないです。夏になればまた景色が一変しそうですね。
このすぐ近くにCafe Torpanranta (カフェ トルパンランタ) というカフェがあるそうです。Google Map
綺麗な景色を見ながらコーヒーなどを飲んだら最高ですね。
この日はおそらく営業していませんでした。
トラムに予定通り乗って、ヘルシンキの市街に戻りました。
ボクシングデーになり、街には人も増えてきました。
ボクシングデー、それはセールが始まる日でもあるのです。
というわけで、次回は同日12月26日がまだ続きますが、ストックマン(Stockmann)などの状況を載せたいと思います。
2年前の情報ではありますが、、。
3日目中編 まとめ
・アアルトスタジオ & 自邸は、徒歩圏内の近い場所に位置している
・運良く日本人のスタッフの方がいれば日本語ガイドツアーも可能
・ガイドツアーの所要時間は約一時間くらい
・一階はリビング、ダイニングと作業スペースなど
・二階は幾つかの部屋とベランダがある
・ベランダには大きなリーヒティエ プラントポットが二つある。
・激レア アラビア謹製のかまぼこタイルが手に入る(前回同様)
・Laajalahtiという湾は綺麗なのでオススメ
・Alvar aalto The Aalto house 詳細 ↓
Riihitie 20, 00330 Helsinki Finland.
https://www.alvaraalto.fi/en/location/the-aalto-house/
↑オフィシャルのホームページに日本語での説明があります。
アアルト自邸
所在地 Riihitie 20
5月~9月のガイド付きツアー 火~日 12時、13時、14時、15時、16時
8月のガイド付きツアー 毎日 12時、13時、14時、15時、16時
休館日 5月1日(火)、6月22~23日(金~土)
※↑こちらの情報はこの記事を投稿した2018年9月の時点の新情報です。
(やはり訪れた2016年12月の内容から変更などがあるようですのでご注意を。)
twelve 青木 健太朗