ここのところ寒さも本格的になってきました。
みなさんの植物はお元気でしょうか。
今回は白絹病(しらきぬびょう)についてです。
(大晦日に投稿するような内容ではないのですが、、、)
耐寒性が低い植物を栽培する場合、冬は室内など気密性が高い場所で栽培することになると思います。
鉢内の風通しが悪くなると様々な病気にかかりやすくなると言われています。
↓パキポディウム ビスピノーサム(Pachypodium bispinosum)
↑この距離だと分かりづらいですが、拡大するとこの通り。
おそらく白絹病という症状で、糸状菌(カビ)などの菌が繁殖することで発生します。菌が株に到達した状態で放置するとおそらく株の方もダメになります。
特徴といえば、目視できる丸い粒々 (菌核 , コロニー) を形成しているところでしょうか。
黄色っぽさもあり、ふわふわした感じもあります。
白絹病は Sclerotium rolfsii という菌が原因なようですが、僕はまだ詳しくは調べきれていません。
菌類は興味はありますが、自分にとっては全く未知のジャンルなので、これから徐々に勉強していきたいです。
白絹病コロニーは株というよりは用土上に発生しました。
こういった菌核を形成すると、その菌は土壌で冬も越えられるようなので、要注意です。
この場合、鉢の上部の方に発生していますが、我が家では鉢底穴の付近にできているケースが多かったです。
鉢底穴を下から見て確認できますので、この症状を知らなかったという方は是非お持ちの植物をチェックしてみてください。
このように鉢底から確認することもできます。
このような菌核が用土上付近や、鉢底付近に出ることからもわかりますが、白絹病の原因菌は好気性の菌なので、基本的に密閉された場所よりも、酸素がある場所を好むようです。
好気性菌(こうきせいきん)とは、嫌気性菌(けんきせいきん)の対語で、字のごとく酸素が好きな菌なようです。
水の中など酸素が薄い場所では生きられないっぽいです。
また、30度くらいの気温と、高湿度などの条件が重なると発生しやすくなりますので、梅雨の時期なんかも発生しやすいようです。
まあ、要するに放置した食パンなどに出てくるカビとかとその辺は同じですね。
最近たまたま「発酵」に関する本を読んでいてそこに書かれていましたが、湿度の高い梅雨時には、人間一人の体の周囲に数千、数万単位で様々な細菌などの微生物が漂っているらしいです。
とにかく、白絹病を発見したら速やかに用土は破棄します。
鉢も使いまわさない方が無難そうです。もしくはカビキラーなど強力な漂白剤などを使えば鉢内の菌は消毒できるかもしれません。
ビスピ君を鉢からガボッと抜いてみました。
根鉢ががっちりと出来ているのは嬉しいですが、喜んでいる場合じゃないです。
本当であれば冬のこの時期に鉢から抜くのは良いこととは言えませんが、白絹病となれば急を要すので話は別です。
軽石に付着した菌核。
他の鉢も何回か同様の症状を発見したことがあり、鉢の用土はマメにチェックしていたつもりでしたが、今回は予想以上に多く広がっていました。
こんな寒い時期に手荒な方法ですが、とりあえずシャワーで用土ごと洗い流しました。
根っこが意外とコンパクトになってしまいました。
白絹病は太陽の光も苦手です。
なので、しばらく日光消毒。
畑などで農作物にも被害をもたらす白絹病ですが、畑などで発生した場合は天地返しといって、耕地の表層と深層を入れ替える作業によって対策をするようです。
これも太陽光線による消毒を目的としているのではないでしょうか。
また、逆に地中深くなってしまった場合も生きられないっぽいです。深くってどのくらいなんでしょうか。
まあ、天地返しは畑などで発生した話なので今回は関係ないです。
洗浄、日光消毒後は殺菌剤であるダコニール1000を一応使います。
白絹病に効果がある薬剤としては石原フロンサイド粉剤というのがあるようです。持っていなかったですし、今回は使用しませんでした。
↓ダコニール1000
ちなみに、ダコニール1000は現在付着しているものを殺菌するのではなく、コーティングして防除するものなので、これから発生してくるであろうヤツに対しての予防です。
カビてしまったり菌が発生してからでは遅いです。
一応、農薬なので使用には注意してください。
ジャブジャブ。
そして、またしばらくのあいだ、陽に当てる。
とりあえず、これで様子を見るしかないですね。
鉢は使いまわさないで、新しいものを用意。
また白絹病の菌は酸性を好むようなので、くん炭や、炭化けいふん、苦土石灰などアルカリ性にするものを用土に混ぜても対策になりそうです。
こんな寒い時期に植え替えになってしまいました。
しばらく様子を観察して、また何か特筆事項が発生したら報告したいです。
ちなみに、ビスピノーサムはそれなりに耐寒性がありますが(他のパキポに比べて)、バロニーとか寒さに弱い種類だったら、このような寒い状況で弱ってしまう場合などもあると思うので、その植物の性質も考慮してください。
ここのところ、植え替えは二年に一度くらいでいいんじゃないかと思っているのですが、こういう病気のことも考えると一年に一回やった方がいいんだな〜、とも思います。
そして何よりも、日々の観察が大切ですね。
白絹病 まとめ
・白絹病は高温多湿のジメジメとした場所が好き。→風通しを良くする。
・白絹病は好気性菌なので適度に酸素を好む。
・白絹病には石原フロンサイド粉剤という薬剤が効くらしい。
・白絹病は太陽光によってある程度消毒できる。
・白絹病は酸性土壌を好む。→アルカリ性にする。
・白絹病のコロニーは冬を越せる耐寒性がある。→菌が付着している用土を庭に撒いたりしない方が良い。
twelve 青木 健太朗