こんにちは。
先日長野に行った時に見つけたコレを紹介します。
蘇民将来護符というものです。
漢字6個でむずかしいですが、「そみん しょうらい ごふ」と読むそうです。
その辺に転がっていたんですが、ふと気になり、なんだこれと手に取って見てみました。
なんとも言えないこのこけしのような民芸的なフォルムとそしてこの漢字。
かっこいいのか?かわいいのか?こわいのか?とこのモノから発するエッセンスを感じつつも、中国の賽子(サイコロ)的なおもちゃ(大貧民みたいな、それぞれ6種類のステータスに選ばれる的な)か何かなんではと踏んでみましたが、調べてみると全然違いました。おもいっきり日本でしたね。
これは由緒正しきお護りでした。
サイコロのように振ってはいけません。
その六角形のそれぞれの面に書いてある漢字はというと 「蘇民」「将来」「子孫」「人也」「大福」「長者」という言葉です。
招福除災の護符ということです。
つまり、福を招き入れて、疫病などの災いを玄関先でストップ!家の中には入れません的なすぐれもの!
素材はドロヤナギの木だそうです。
スサノオ系の話でして、蘇民将来という人が災難を逃れた故事にちなんでいるそうです。(文末に引用あり)
この護符を持っている私は、その蘇民将来の子孫にあたる者なり!みたいな事を災いに対して言っているみたいな??
スサノオなので神道系?
その形状と絵柄は民俗学的な観点からも貴重なデザインで、昭和43年4月には上田市の民俗文化財に指定されているそうです。
そんなことを言われると是非自分の分をゲットしに行きたくなります。
今回の写真の物は長野県上田市の八日堂(ようかどう)でのみゲット出来るレアアイテムです!しかも期間限定ですので、もらいに行きたい人は日程を要チェックです。
この蘇民将来系の護符は全国各地で見つける事が出来るようです。岩手県には蘇民祭というのがあるみたいですし。
そして各地域により、デザインも様々。
勝手にリンクしちゃいますが、→このサイト←に色々載ってます。
注連縄型や、キーホルダー型?、護符型など様々!
ソミンというカタカナの物もありますね!
その多種多様を眺めているだけでもお腹いっぱいになります。
こういった概念は民俗学というか折口学における、稀人(マレビト)信仰なんかにも共通しているような所があるんでしょうか…?
客人はおもてなししましょうというような。
もっとも民話や民俗学や日本の宗教に関しては、興味津々ですが、造詣が浅いので分からない事ばかりですが、、
そして改めて思いますが…各地域のカリグラフィ、アラビア文字や、道教の護符や、ヨーロッパの筆記体など、世界の読めもしないカリグラフィ達にずっと魅了されてきましたが、本気な雰囲気の漢字って力強くてカッコいい!と再認識しました。
みなさんもこの蘇民将来護符をゲットして恐ろしい疫病をガードしましょう!
蘇民将来エピソードの引用を探していたら、坂口安吾の本に蘇民将来の事に触れている箇所がありました。
(※下記に登場する、武塔神、スサノオ、牛頭天王などは同一視されているようです)
一部引用。
安吾の新日本地理 安吾・伊勢神宮にゆく
坂口安吾
武塔神が北海から南海の女をよばいに旅行の折、その地に蘇民将来という兄弟があった。兄は貧乏、弟は富んでいたが、武塔神が宿を乞うと弟は拒絶したが、兄は快く泊めて粟をたいてモテナシてくれた。八年後に武塔神が再び訪れ誼(よしみ)に報いようと茅の輪をつくって兄の一家に帯びさせた。その年に疫病起って蘇民一家を残すほかの住民はみんな死んだ。即ち吾はスナノオの命なり、後世疫病ある時は蘇民将来子孫なりと云い、茅の輪をもって腰に帯をすれば難をまぬかれるだろう、と教えて立ち去った、という伝説によるのである。
ちなみにこの上記の全文は→こちら←でも読めます。
twelve 青木 健太朗