冬型キク科多肉塊根植物 オトンナ OthonnaたちVol.1 ~贔屓植物記録 2019.01冬~

みなさん、冬の植物ライフをどのようにお過ごしでしょうか。

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冬型の多肉植物といえば、有名なものではチレコドン(Tylecodon)、メストクレマ(Mestoklema)、サルコカウロン(Sarcocaulon)=現モンソニア(Monsonia)、エリオスペルマム(Eriospermum)、ペラルゴニウム(Pelargonium)、ユーフォルビア(Euphorbia)の一部の冬型種、ブーファン ハエマントイデス(Boophane haemanthoides)などなどパッと思いつくだけでもたくさんあります。

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今回は上記と同様に冬型であるキク科の多肉植物オトンナ(Othonna)の栽培写真を記録します。

ものすごいものを持っているというわけでもないんですが、いろいろ栽培していくうちに写真が溜まってきたので、備忘録の意味も兼ねて記録します。

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全3回に分けました。

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Vol.1 (1種目~8種目)

Vol.2 (9種目~17種目)←このページへリンクしてあります。

Vol.3 (18種目~25種目+おまけ)←このページへリンクしてあります。

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まず1種目

オトンナ・フルカタ Othonna furcata

灌木のような形状と白い肌がかっこよく気に入っています。

枝先が細めになってきていて徒長感があります。なるべく水は切っているのですが難しいですね。

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2種目

オトンナ・レトロフラクタ Othonna retrofracta


丸みを帯びた葉が特徴なのでしょうか。

こちらは上の写真とは別株です。

黒っぽいというか、茶色っぽいというか。いい色をしています。

もっと丸々と太ってほしいものです。いつも枝先は枯れたりする部分が出てきてしまいます。

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3種目

オトンナ・ロバタ Othonna lobata

オトンナ・ロバタはオトンナ・レトロフラクタとシノニムだそうですね。

両種の佇まいはなんとなく似ていますね。葉が楕円形っぽいレトロフラクタに対して、ロバタの方は葉が春菊のように少し切れ目が入っているというかギザギザっぽさがあるような気がします。

塊根部分は成長して太ってくれたのか、ひび模様のようなものができています。

下の写真は、上のロバタとは別株のロバタです。花が咲きそうな時に写真を撮りました。

↑オトンナ・ロバタ Othonna lobata の花

キク科の植物といえばタンポポやヒマワリですが、他にも調べてみるとカモミールやベニバナ、レタスもキク科で、色々種類はあるようですね。

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キク科の花は、頭状花序(トウジョウカジョ)という形状になります。

頭状花序とは、一見一つの花に見えますが、よく見ると筒状花(トウジョウカ)(管状花とも)という小さい花がいくつも密集している形状のことをいいます。

まだ咲いていないボール状の花の蕾です。

蕾が開いてきて中から筒状花(トウジョウカ)がいくつも出てきました。

頭状花序(トウジョウカジョ)を上から見たところ。
いくつも並んだ丸く見えるものが筒状花(トウジョウカ)です。

それぞれの筒状花には雄しべと雌しべが付いているようですが、雄しべが先に成熟して、その後、雌しべが成熟するらしいです。

雄しべと雌しべの成熟時期に時間差があるので、結果的に自家受粉にならないようになっているそうです。

ちょうど近くに雄しべが成熟した株と、雌しべが成熟した別の株があってはじめて受粉となるようです。

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4種目

オトンナ・アルブスクラ Othonna arbuscula

灌木状になるというオトンナです。写真はベアルートの状態。

灌木状という点でも1種目に出てきたオトンナ・フルカタ Othonna furcataに似ているような印象を受けます。

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5種目

オトンナ・カカリオイデス Othonna cacalioides


こちらはとても希少なものです。丸っこくてかわいいです。

1円玉くらいの小さいサイズのコーデックスですが、1万円出しても買えないくらいの相場で売買されています。

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ベアルートで到着した時の恐るべき姿。

ぺっちゃんこ過ぎてビビリました。

これ生きてるの?と、思わずにはいられません。

根はしっかりしているものの、乾燥がひどいです…

上の写真のぺっちゃんこ状態から、無事活着したようで、プックリしたフォルムになってくれました。

そして花を咲かせました。

その後、しばらく元気でしたが…

お亡くなりになられました。

Othonna cacalioidesの名札が墓標のようです。

植物は弱っている時に、少しでも子孫を残すため、最後の力を振り絞って花を咲かせるということがあるようです。

このオトンナ・カカリオイデスも、花をたくさんつけたのはそういう意味があたのかもしれません。一度は活着したようだったので非常に残念です。

もしかしたら活着間もないようなまだ完全に安定していない植物は、花芽が上がってきても、切り落としてしまった方が、パワーの無駄使いにならなくていいのかもしれません。もちろん花芽カットは自己責任でお願いします。

非常に残念ですが、このように植物を枯らしてしまうのは、園芸において避けては通れないことですね。遠くから来てくれたのに死なせてしまって申し訳ない..。

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6種目

オトンナ・カルノーサ Othonna carnosa

上のオトンナ・カカリオイデスとは打って変わってリーズナブルな価格帯のオトンナ・カルノーサです。

挿し木とかで増えやすいから安いんでしょうか。

葉っぱを虫か鳥かに食べられています。

↑オトンナ・カルノーサ Othonna carnosaの花の蕾

↑オトンナ・カルノーサ Othonna carnosaの花

外側の舌状花はクルッと外巻きですね。オトンナの花をいろいろ見ていると外巻きになっている花は案外多い気がします。

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7種目

オトンナ・ヘレー Othonna herrei

ゴツゴツした肌がかなり珍奇植物感があります。

和名は蛮鬼塔というそうです。確かに野蛮な鬼が住んでいる城のように見えなくもないです。

オトンナの中でも人気がある種類ですね。

こちらもベアルートの状態の写真です。LEDライト照射でピンクっぽくなっていてすみません。

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8種目

オトンナ・レトロルサ Othonna retrorsa

枯れ草の塊から新芽を出す不思議植物。夏の間の休眠期はただの枯れ草の塊ようになってしまいます。
五反田のビッグバザール(→過去のビッグバザールリンク←)で、はじめてレトロルサを見たときは、こんな植物があるのかと、大変興味を惹かれたのを覚えています。

↑成長点。葉っぱにはギザギザのノギがありますね。

成長点の中心にはオトンナ属によく見られる白いふわふわが見えています。

枯れ葉はしっかりついているので、むしろうとしても簡単には取れません。枯葉も含めて完成形なんですね。

オトンナ・レトロルサ Othonna retrorsa の頭状花序。

外側から筒状花が開いていっています。

↑さらにアップ。

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オトンナ・レトロルサ Othonna retrorsaの裏側を見たときは、このワイルドな姿に驚きました。

枯れ草に身を包んでいる状態は、どことなくおっとりした印象を受けますが、裏側はゴツゴツです。

↑オトンナ・レトロルサ Othonna retrorsaの裏側

塊根の分岐感はユーフォルビア・ギラウミニアナ Euphorbia guillauminianaをもっと太くしたようです。

また、表面感はオトンナ・レピドカウリス Othonna lepidocaulisを彷彿とさせる鱗っぽさもわずかながら感じられます。

横にすると平たいオトンナ・レトロルサ Othonna retrorsa

横から見たシルエットはパキポディウム・ブレビカウレ Pachypodium brevicaule 通称 恵比寿笑い にも通ずるところがありますね。

平たい植物というのは、背を伸ばす必要がない自生地に生息しているんだと思います。レトロルサの自生地も、周りに日照の競争相手となる高い木がない、日照が充分にあるような場所なんではないでしょうか。

背が低いと、動物の食害や、強風で折れてしまうなども回避できそうです。

または、重心が下にある方が岩場などの斜面や安定感がない場所でもバランスが取れそうです。

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Vol.1はここまでです。

Vol.2に続きます。

こちらからリンクできます。

冬型キク科多肉塊根植物 オトンナ OthonnaたちVol.2 ~贔屓植物記録 2019.01冬~

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※登場する植物は、記載してある名称で入手したものというだけで、標本株というものでもないですし、葉や花の形なども、標準とされる個体から差がある場合があることをご了承ください。交配種も載せているくらいですし。

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twelve 青木 健太朗