“竜卵窟” ブラキステルマ バルベラエ (Brachystelma barberae)

奇妙な形状の花を咲かせる塊根植物、竜卵窟 こと Brachystelma barberae ブラキステルマ バルベラエ (バーベラエ) を紹介します。

 

僕が栽培している植物の中でも、花だけでいえばトップクラスの奇怪さ。

竜卵窟 (龍卵窟) “りゅうらんくつ” という和名も良いと思います。

ちなみに自生地は南アフリカなどです。

 

花芽が出てきたことがとても嬉しかったので、頻繁にパシャパシャ撮影していました。

おかげで順を追って花の成長を記録できました。

この夏の園芸の思い出。

 

写真は時系列で上から順に並んでいます。

 

これが一枚目。花芽が上がる前のイモのみの写真や、土から出ている塊根の全貌の写真もあったはずですが、いざ探してみると見つからず。

↑ 2017.7.18

中心に花芽の集合体が飛び出してきました。

その周りに3本くらい飛び出しているのは葉ですね。

 

ブラキステルマはガガイモ科(Asclepiadaceae)の仲間で、ガガイモといえば、スタペリア、セロペギア、カラルマ、フーディアなど種類もいっぱいあります。

 

ガガイモ科は形状も多彩で、セロペギアなどのいわゆる竜骨系と呼ばれる多肉質の茎状のものや、カラルマなど柱サボテンのような形状をしたものや、ラフィオナクメなどのように塊根を形成するタイプ、プセウドリトスのような柔らかいボール状のおまんじゅう型など、様々です。

 

ガガイモ科はAPG体系という被子植物の新しい分類によると、パキポディウムなどと同じグループのキョウチクトウ科に含まれるらしいです。

 

 

展開してきた花芽ですが、もうこの時点で只者ではない雰囲気が。

 

ブラキステルマは扁平な塊根を形成するものが有名で、綺麗な円板型になったりとコーデックスと一言に言ってもいろいろな特徴があります。

 

こちらの竜卵窟は塊根自体に穴が空いていたりする個体が多い気がします。

穴が空いていて、反対側まで貫通していたり。

ですが、別に腐っているわけではないという。

こちらの個体も多少くぼみや穴などがあります。

自生地で地中に埋まっている時に近くに大きな石とかがあったりして成長できなかった部分がくぼみになるのでしょうか。

 

ちなみに塊根が20cm径くらいで、10年~20年ものって感じらしいです。

↑ 2017.7.21

日に日に花芽が大きくなってきました。

 

塊根を露出させたい気持ちを抑えて少し埋め気味にしました。

腐りやすいらしいので、潅水はかなり控えめで、用土も軽石と赤玉やパーライトなどの軽めな配合で、微塵なども極力除きました。

 

 

葉は横に押しやられ、花芽がどんどん大きくなりました。

先端はツンと尖っています。

↑ 2017.7.23

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ついに開花。

 

 

 

2017.7.26

 

 

開花にはすぐに気付きました。

 

夏の蒸し暑い中、視覚による認識よりも先に、ミニ温室からほのかに漂う妖気のような腐臭によりこのバルベラエさんの存在感を認識しました。

右下のです。

同じビニールハウス内にいた植物たちもさぞ臭かったことでしょう。

こもった臭気が解き放たれた時は時空が歪んだかもしれません。

たかが匂いとはいえ、植物が出す様々な化学物質であることは確かなので、リンゴが放つ植物ホルモン「エチレン」のように、周りの植物に悪影響を与えていないといいなとは思います。

ちなみに奥に写っているバロニーはこの夏を越して秋に謎の死を遂げました。まさかこの臭気が原因…なんてことはないと思います。

 

 

すごいフォルムです。

 

尖っていた花芽が五つに割れて開花しました。

花芽が割れる前まではほぼ無臭ですが、写真のように花芽が割れてから強烈な存在感を発揮します。

匂いはその時の気温などの条件や開花からの時間系によっても変化しそうですが、僕が最初に思い浮かべたのは、ぬかみそのぬか床でした。

また同じはないにしても、植物の臭い匂いというカテゴリからかドリアンの匂いも思い出しました。

 

僕はこの鳥籠状の花を見るとついつい、νガンダム(ニューガンダム) のフィンファンネルを思い出してしまいます。見くらべると似てないですが。

花芽は割れたけど、花の先端は繋がったままということにより、この鳥籠状の不思議な形状が作られています。

 

ポリネーター(花粉媒介者)のためを考えて、進化していったらこうなりました。

お客様の立場になって考えてみました。みたいな。

腐臭に引き寄せられてきた昆虫たちは最上のおもてなしを受けることでしょう。多分。

先端が繋がっている鳥篭形状にも何かしらの意味があるはずですが、入ったポリネーターが出にくいようになっているのでしょうか?

 

触ってみると多少クッション性があるような。

いずれにしてもとてもクサイです。

 

2017.7.30

少し花が萎れてきた感があります。

 

 

 

開花から一週間弱で花は枯れました。

2017.7.31

 

その匂いも徐々に薄くなってきました。

 

花はしおしおになってしまいましたが、その下には少し大きくなった葉が控えていました。

 

花が枯れてからは、一気に葉が展開しました。

2017.8.10

 

この下の写真で9月半ばなので、寒くなって落葉するまで葉は展開していました。

2017.9.19

ここでガンガン日に当てて養分を蓄えてもらいたいと思います。

作落ちさせないように気をつけねば。

 

 

2017.11.25

 

現在は落葉したので、休眠したと判断して安静にしています。

来年も是非頑張って欲しいです。

 

しっかり発根もして根も鉢底に届いています。

 

こちらの竜卵窟ことバルベラエさんは今でこそ、高級プランツですが、昔はもう少し安く手に入ったようです。

僕はたまたま運良く海外から入手できましたが、いくつも買えたわけではないですし、そもそも海外での価格も結構高かったです。

 

この写真の大きさのものだと、今の相場ですと2万出しても買えないくらいだと思いますが、かつては3000円程度で入手できたそうです。

 

栽培の難易度もそれなりにある上で、受粉させて種を取るのも難しいようです。

海外のサイトによると、種から発芽させるのは比較的容易だとも書かれていました。

果実は受精後、次の春まで熟成期間を設けるというようなことが書いてありましたが、どうなんでしょう。

 

現地では、塊根部分が食用にされる場合があったり、同時に動物たちの食害にもあっているようです。

また薬として使われる場合もあるようなので、自生地でも数もどんどん減っていきそうですよね。

 

完全に妄想ですが、高騰の原因はこんな流れでしょうか?

昔は自生地からたくさん入ってきた → 在庫があったため価格も低かった → 案外繁殖が難しい → 栽培難易度の高さから日本にかつて入ってきた個体も減ってしまう → 自生地でも数が減っていて取りづらくなった → 花の奇怪さからマニアックな需要がある。とか。

 

そんな臭く奇怪な花を咲かせる植物 竜卵窟 こと ブラキステルマ バルベラエでした。

 

園芸に興味がない人にとっては、大枚はたいて、少しのミスでも死んでしまう臭い花の植物を、貴重そうに育てること自体が奇怪に見えるかもしれません。

 

twelve 青木 健太朗